摩擦の性質を観察することについて

摩擦というのは工学や物理学、材料学などなどの間にあるもので、いずれの学問体系にも組み込まれていないとか。いわゆる中間領域の学問ということで、すあおに事実を観察する実証的態度が大切と考える人がいます。この方はそこから身近なものを使って摩擦の法則を測定しておられます。今では摩擦や摩耗を扱う学会などがあるのですが、この考えを持っていた曽田範宗氏はもっと前に「摩擦の話」を著しました。トライボロジーという言葉あるのですが、この語源は「潤滑に起因する経済的損失の調査と産業界へのその必要性の提案を行うための報告書」にあるという説明があります。そこから「日本潤滑学会」が改名して「日本トライボロジー学会」になったといいます。「摩擦の話」の著者・曽田氏は、「実験の道具として、摩擦の力を測るものがあればよい」といいます。たとえばバネばかり。あまり精密とは言えませんが、摩擦の性質を大づかみするには十分だそうです。また曽田氏は、どんな物の摩擦を図ってみようかといつも考えていたようです。勉強机にある国語辞典。勉強机と辞書の摩擦力です。机は桜。表面はラッカー塗装です。まずは辞書を外箱に入ったまま机との摩擦を調べてみたそうです。辞典を平らな机の上に置いて、紐の輪をひっかけて、ばねばかりで水平方向に静かに引っ張る。辞典がすべりだすときのはかりのメモリを読む。静止状態から滑り出したときの摩擦力は、静摩擦力と呼ばれているものです。さらに滑り出してもそのまま適当な速度で静かにハネばかりを介して辞典を滑らせるということをします。そのときのはかりのメモリを読み取ります。これは物が滑っている過程で働く摩擦力です。摩擦力の動摩擦力と呼びます。